この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
ご相談者は、ある日突然、これまで交流のなかった親族の相続人となりました。ご本人が確認したところ、目ぼしい資産もなく、金融機関からの借入なども確認できなかったことから、特段の手続をとることもなく、そのまま放置することにしました。ところが、相続人となったことを知ってから6か月ほど経った頃、被相続人の債権者から、支払困難な高額の保証債務履行請求を受けました。相続放棄を検討したものの、既に家庭裁判所に対する申述期間3か月を経過している状況でした。
解決への流れ
相続放棄が遅れた具体的な事情を聴取した上で、相続放棄の手続代理を受任しました。相続放棄が遅れた理由として、具体的な事実関係を的確に整理して記載した「上申書」を作成し、相続放棄申述書とともに家庭裁判所に提出することによって、相続放棄が認められました。
相続放棄は、原則として、相続開始の原因事実、及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から3か月以内に手続する必要があります。もっとも、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態、その他諸般の状況からみて、当該相続人に対し、相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があるような場合には、3か月の期間経過後も、相続放棄が認められることがあります。そのような場合、個別具体的な事情を踏まえて、家庭裁判所に対し、「著しく困難な事情」があることを説得的に説明することがポイントになります。そうした説明を行う際には、経験ある弁護士への依頼が推奨されます。