15549.jpg
「野次馬的な広がりが多かった」 ブラック企業問題の弁護士が見た「すき家スト」騒動
2014年05月29日 21時20分

牛丼チェーン「すき家」で、5月29日の「肉の日」にストライキが行われる――。そんな情報がネットを駆けめぐり、その日に何が起きるのか、注目が集まった。「すき家の店舗では、ストライキはおこなわれていない」。すき家を運営するゼンショーホールディングスがそう説明する一方で、同ホールディングス傘下の工場では、従業員一人による「ストライキ」がおこなわれたという。

この日まで、ソーシャルメディアを中心に「すき家ストライキ」をめぐる議論が盛り上がったが、なかでも大きな反響をよんだのは、ブラック企業被害対策弁護団代表の佐々木亮弁護士が書いた「ブラック企業へのカウンターパンチ ストライキ!」という記事だ。

佐々木弁護士はこの記事の中で、ストライキの手順や労働組合の役割について説明したうえで、「ブラック企業を、ストライキという強烈なカウンターパンチでノックアウトして、労働条件の大幅な改善を勝ち取りたいですね」とコメントしていた。

「すき家ストライキ」が予告された29日の夕方、佐々木弁護士に電話でインタビューし、今回の動きについて聞いた。

牛丼チェーン「すき家」で、5月29日の「肉の日」にストライキが行われる――。そんな情報がネットを駆けめぐり、その日に何が起きるのか、注目が集まった。「すき家の店舗では、ストライキはおこなわれていない」。すき家を運営するゼンショーホールディングスがそう説明する一方で、同ホールディングス傘下の工場では、従業員一人による「ストライキ」がおこなわれたという。

この日まで、ソーシャルメディアを中心に「すき家ストライキ」をめぐる議論が盛り上がったが、なかでも大きな反響をよんだのは、ブラック企業被害対策弁護団代表の佐々木亮弁護士が書いた「ブラック企業へのカウンターパンチ ストライキ!」という記事だ。

佐々木弁護士はこの記事の中で、ストライキの手順や労働組合の役割について説明したうえで、「ブラック企業を、ストライキという強烈なカウンターパンチでノックアウトして、労働条件の大幅な改善を勝ち取りたいですね」とコメントしていた。

「すき家ストライキ」が予告された29日の夕方、佐々木弁護士に電話でインタビューし、今回の動きについて聞いた。

●「面白い動きなのは間違いない」

――今回の騒動についてどう思う?

店舗で働いているスタッフが、もし本当に要求をぶつけるというのであれば、使用者に打撃を与えないと意味がありません。今回は、自然発生的に、噂のように広がっていった部分がありますから、いろんな打撃を与えているとは思います。しかし、要求そのものは漠然としていますね。

たとえば、「ワンオペは絶対にやめろ!」とか、「深夜で一人で働かせるのは危ないからやめろ!」という主張が掲げられたうえで、インターネットで広がっていたら、影響があったのかなと思いますが、「ストだ!ストだ!」と野次馬的な広がりが多かった気もします。

他方で、面白い動きだったというのは、間違いないと思います。

●ストライキが正当と認められるかどうかは、ケースバイケース

――そもそも、ストライキはどういうふうにおこなわれるのか?

まず、労働組合として、使用者に要求をぶつけます。その要求が通らない場合に、「スト権」を確立するための投票をおこないます。その投票でスト権を確立したら、できれば事前に通告したうえで、ストライキに突入する。これが違法ではない、オーソドックスなストライキです。

逆に言えば、労働者が単に会社に行かないとか、単に欠勤してしまうというのは、正当なストライキにはあたらないでしょう。

――どういうストライキならば、正当といえるのか?

ケースバイケースで違ってくるし、判断が難しいところがあります。一応、オーソドックスなやり方が正しいといえるでしょうが、あとは、個別具体的な判断になるでしょう。

過去の裁判例をみると、外国人実習生があまりにもひどい労働環境のために、みんなで職場放棄したというケースについて、ストライキが認められた例があります。ただし、それはごくごく例外といえます。逆に、労働者がみんなで一斉に「有給休暇を取ってやろう」として、本当に有給を取ったケースで、ストライキにあたらないとされた判例もあります。

――改めて、今回の「ストライキ騒動」を振り返ると?

そもそも、「労働条件が悪いのでストライキをやったらどうか」という発想は、非常にまっとうだと思います。ただ、それが従来の枠ではない、という難しさもあります。今後は、いろいろな分野の人たちが考えて、どうまとめていくかというのが課題でしょう。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る