9437.jpg
白血病で労災認定の福島原発元作業員が提訴「東電は何ひとつ謝ってくれていない」
2016年11月22日 17時30分

東京電力福島第1原発の作業などで被ばくして白血病になったと労災認定された北九州市在住の元作業員の男性(42)が11月22日、十分な被ばく対策を怠ったとして、東京電力と九州電力に対し、原子力損害賠償法にもとづき約5900万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。男性の代理人によると、福島原発事故の収束作業で労災認定された労働者が起こした初めての訴訟だという。

訴状などによると、男性は2011年10月から12年1月にかけて、福島第2原発の建屋耐震工事に従事。12年1月から3月にかけては、九州電力玄海原発で定期点検工事にたずさわった。さらに12年10月から13年12月までは、福島第1原発でカバーリング工事などに関わった。その間の被ばく量は計約20ミリシーベルトだった。

男性は2014年1月、急性骨髄性白血病と診断された。その後、死の恐怖にさいなまれて、ふさぎ込むようになり、同年5月にはうつ病と診断された。2015年10月、白血病は原発労働が原因だったとして労災認定された。さらに今年5月、うつ病についても労災認定を受けた。

原告の男性はこの日の提訴後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。男性は「東京電力は何ひとつ謝ってくれていない」「自分たちは捨て駒じゃない」と怒りを口にした。「今後、多くの労働者の労災認定が増えていくと思う。私が前例となって、みなさんの励みになれば」と述べた。

男性の代理人をつとめる海渡雄一弁護士は、訴訟の意義について(1)収束労働による比較的高い線量の被ばくが健康被害をもたらしうることを社会的に明らかにする、(2)類似の事例の発掘のきっかけとなりうる、(3)東電の責任を明らかにすることで、制度の改革・改善につなげたいと説明した。

東京電力ホールディングス広報室は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「当社に訴状が送達されていないため、詳細は承知しておりませんが、訴訟が提起されるということであれば、訴状が送達され次第、適宜、適切に対応してまいります」と回答した。

九州電力報道グループは「当社は訴状を受け取っておらず、詳細を確認しておりません。今後、訴状が送達されれば、内容を検討の上、適切に対応していきます」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

東京電力福島第1原発の作業などで被ばくして白血病になったと労災認定された北九州市在住の元作業員の男性(42)が11月22日、十分な被ばく対策を怠ったとして、東京電力と九州電力に対し、原子力損害賠償法にもとづき約5900万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。男性の代理人によると、福島原発事故の収束作業で労災認定された労働者が起こした初めての訴訟だという。

訴状などによると、男性は2011年10月から12年1月にかけて、福島第2原発の建屋耐震工事に従事。12年1月から3月にかけては、九州電力玄海原発で定期点検工事にたずさわった。さらに12年10月から13年12月までは、福島第1原発でカバーリング工事などに関わった。その間の被ばく量は計約20ミリシーベルトだった。

男性は2014年1月、急性骨髄性白血病と診断された。その後、死の恐怖にさいなまれて、ふさぎ込むようになり、同年5月にはうつ病と診断された。2015年10月、白血病は原発労働が原因だったとして労災認定された。さらに今年5月、うつ病についても労災認定を受けた。

原告の男性はこの日の提訴後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。男性は「東京電力は何ひとつ謝ってくれていない」「自分たちは捨て駒じゃない」と怒りを口にした。「今後、多くの労働者の労災認定が増えていくと思う。私が前例となって、みなさんの励みになれば」と述べた。

男性の代理人をつとめる海渡雄一弁護士は、訴訟の意義について(1)収束労働による比較的高い線量の被ばくが健康被害をもたらしうることを社会的に明らかにする、(2)類似の事例の発掘のきっかけとなりうる、(3)東電の責任を明らかにすることで、制度の改革・改善につなげたいと説明した。

東京電力ホールディングス広報室は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「当社に訴状が送達されていないため、詳細は承知しておりませんが、訴訟が提起されるということであれば、訴状が送達され次第、適宜、適切に対応してまいります」と回答した。

九州電力報道グループは「当社は訴状を受け取っておらず、詳細を確認しておりません。今後、訴状が送達されれば、内容を検討の上、適切に対応していきます」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る